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利回り6%でも買うべき物件の条件とは?数字で判断する方法

利回り6%は低利回りに見えますが、条件次第では8%より優れた投資になります。FCR・DSCR・BER・流動性・賃料安定性を総合した「買うべき条件」を具体例で解説します。

「利回り6%は低すぎる」という固定観念があります。しかし利回りは単独で判断するものではなく、FCR・融資条件・地域需要・出口戦略とセットで評価するものです。場合によっては、表面利回り8%の物件より利回り6%の物件の方が安全で収益性も高いケースがあります。

比較する2物件

物件A:表面利回り8%(地方)

物件価格:  1,500万円
現行賃料:  月10万円(GPI 120万円)
市場相場:  月8万円(乖離20%)
築年数:    築25年
エリア:    地方都市(空室率12%)
ローン:    金利3.5%・30年・LTV 85%

物件B:表面利回り6%(都市近郊)

物件価格:  2,500万円
市場相場賃料: 月12.5万円(GPI 150万円)
現行賃料:  月12.5万円(乖離なし)
築年数:    築10年
エリア:    都市近郊(空室率5%)
ローン:    金利2.0%・35年・LTV 80%

全指標の計算

物件A(表面利回り8%・地方)

GPI(相場):   96万円(8万円 × 12ヶ月)
EGI(-8%空室): 88.3万円
OPEx(-20%):   19.2万円
NOI:            69.1万円

借入 1,275万円・3.5%・30年
ADS(目安):    68.8万円/年

CF:       +0.3万円/年(月+2,500円)※ほぼゼロ
DSCR:     69.1 ÷ 68.8 = 1.004(危険ライン)
BER:      68.8 ÷ 96 = 71.7%(エリア平均80%超空室率12%考慮)
FCR:      69.1 ÷ 1,500 = 4.6%
イールドギャップ: 4.6% − 3.5% = +1.1%(ギリギリ)
CCR:      0.3万円 ÷ (225万円 + 60万円)= 約0.1%(ほぼゼロ)

物件B(表面利回り6%・都市近郊)

GPI:          150万円(12.5万円 × 12ヶ月)
EGI(-5%空室): 142.5万円
OPEx(-20%):   30万円
NOI:           112.5万円

借入 2,000万円・2.0%・35年
ADS(目安):   65.8万円/年

CF:       +46.7万円/年(月+3.9万円)
DSCR:     112.5 ÷ 65.8 = 1.71(良好)
BER:      65.8 ÷ 150 = 43.9%(エリア平均95%に対して余裕十分)
FCR:      112.5 ÷ 2,500 = 4.5%
イールドギャップ: 4.5% − 2.0% = +2.5%(良好)
CCR:      46.7万円 ÷ (500万円 + 100万円)= 約7.8%

全指標比較

指標物件A(8%・地方)物件B(6%・都市近郊)勝者
表面利回り8.0%6.0%A
FCR4.6%4.5%ほぼ同じ
イールドギャップ+1.1%+2.5%B
CF(年)+0.3万円+46.7万円B
DSCR1.004(危険)1.71(良好)B
BER71.7%43.9%B
CCR0.1%7.8%B
流動性低い(地方)高い(都市近郊)B
賃料乖離リスク高い(20%)なしB

✓ 利回り6%の物件Bが全指標で優位

表面利回りは物件Aが8%で高いですが、CFはほぼゼロ、DSCRは危険ライン、CCRもほぼゼロ。対して物件Bは表面利回り6%でも、CF+3.9万円/月・DSCR 1.71・CCR 7.8%とすべての指標で上回ります。


利回り6%でも「買うべき物件」の条件

物件Bが優れていた要因を一般化すると、以下の条件を満たす低利回り物件は買うべきと判断できます。

条件1:FCRとイールドギャップが良好

FCR > ローン金利 + 2%
→ 物件B:4.5% > 2.0% + 2% = 4.0%(クリア)
→ 物件A:4.6% > 3.5% + 2% = 5.5%(未達)

条件2:低金利の融資が利用できる

都市部・築浅・属性が良い場合、低金利融資(1.5〜2.5%)が利用でき、ADS を圧縮できます。これがイールドギャップを拡大させる鍵です。

条件3:市場相場賃料と現行賃料が一致している

賃料乖離がなければ、退去後も収支が変わりません。

条件4:エリアの空室率が低く需要が安定している

都市近郊・駅近・需要源が多いエリアは、空室率が低く賃料も安定します。BERとエリア入居率の差が大きくなり、耐性が高まります。

条件5:流動性(出口)が確保できる

都市近郊の物件は買い手が多く、融資が付きやすいため、出口が作りやすい。

利回りだけで判断した購入

物件A(利回り8%)を購入
CF: 月+2,500円(ほぼゼロ)
DSCR: 1.004(危険)
賃料乖離20% → 退去後赤字
→ 数年後に収支崩壊

全指標で比較した購入

物件B(利回り6%)を購入
CF: 月+3.9万円
DSCR: 1.71(良好)
賃料乖離なし → 退去後も安定
→ 長期にわたり安定収益


利回り6%を「見送るべき」ケース

低利回りでも以下の場合は購入を避けるべきです。

✕ FCR < ローン金利(イールドギャップがマイナス)
✕ 融資金利が高く DSCRが1.2を下回る
✕ エリアの空室率が高く BER がエリア平均入居率を超える
✕ 流動性が低い(売れない)
✕ 購入価格が市場より割高(NOIに対して高すぎる)

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まとめ

  • 表面利回りの高さと収益性の高さは別物
  • 物件A(8%・地方):CF+300円/月、DSCR 1.004、CCR 0.1%
  • 物件B(6%・都市近郊):CF+3.9万円/月、DSCR 1.71、CCR 7.8%
  • 全指標で物件Bが優位。利回り6%でも「買うべき物件」
  • 低利回りでも買うべき条件:FCRとイールドギャップ・低金利融資・賃料乖離なし・低空室率・高流動性

関連記事:表面利回り8%物件をフル分析 / FCRとCCRはどちらを重視? / 買ってはいけない物件の特徴7選

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