築古物件は利回りが高く見えることが多いですが、それは安さの裏にリスクがあるためです。重要なのは「築古だから買わない」ではなく、リスクを数字で把握した上で判断することです。
築年数ごとのリスク変化
| 築年数 | 主なリスク | 利回り傾向 |
|---|---|---|
| 築10年以内 | 比較的少ない。設備故障が出始める | 低め(5〜7%) |
| 築10〜20年 | 給湯器・エアコン等の設備交換期 | 中程度(6〜9%) |
| 築20〜30年 | 大規模修繕(外壁・屋根・給排水管)が必要 | やや高め(7〜12%) |
| 築30年超 | 旧耐震の可能性。融資が付きにくい。出口が厳しい | 高め(10〜15%超) |
| 築40年超 | 建替え・取壊しリスク。融資ほぼ不可 | 非常に高い |
リスク1: 修繕費の増大
築古物件の最大のリスクは修繕費です。購入直後に大規模修繕が必要になると、想定外の出費で収支が崩壊します。
主な修繕費の目安:
給湯器交換: 15〜30万円/台
エアコン交換: 10〜20万円/台
外壁塗装: 100〜300万円(規模による)
屋根防水: 50〜150万円
給排水管更新: 100〜500万円
⚠ 修繕履歴がない築古は最大のリスク
過去にいつ何を修繕したかの記録がない物件は、購入直後に多額の修繕費が発生する可能性があります。修繕履歴を必ず確認してください。
リスク2: 融資が付きにくい
金融機関は融資審査で建物の残存耐用年数を考慮します。
融資期間の目安:
融資期間 ≤ 法定耐用年数 − 経過年数
例: RC(耐用年数47年)・築25年の場合
融資期間 = 47 − 25 = 最大22年
例: 木造(耐用年数22年)・築25年の場合
融資期間 = 耐用年数を超過 → 融資が通りにくい
融資が短くなるとADS(年間返済額)が増え、DSCRが悪化します。
リスク3: 旧耐震基準
1981年6月以前に建築確認を受けた物件は旧耐震基準です。
- 地震リスクが高い
- 融資審査で不利
- 売却時に買い手が限られる(流動性低下)
- 耐震補強には数百万〜数千万円かかる
リスク4: 出口(売却)の困難さ
築古物件は売却時に以下の問題が起きやすくなります。
- 次の買い手に融資が付かない → 現金購入者のみが対象
- 買い手が限られるため価格が下がる
- 建物の評価がゼロに近づく(土地値のみ)
購入して良い築古物件の条件
修繕履歴: 不明
耐震基準: 旧耐震
融資: 付かない
エリア: 空室率15%超
→ どれだけ利回りが高くてもリスク過大
修繕履歴: 明確(直近で実施済み)
耐震基準: 新耐震(1981年6月以降)
融資: 期間15年以上で可能
エリア: 空室率10%以下
→ リスクを把握した上で判断可能
築古物件のチェックリスト
【修繕】
□ 修繕履歴を入手し内容を確認した
□ 屋根・外壁・給排水管の状態を確認した
□ 今後5年以内に必要な修繕費を見積もった
□ 修繕費を収支計算に織り込んだ
【融資】
□ 金融機関に融資可否と条件を確認した
□ 融資期間でDSCR ≥ 1.2を満たすか確認した
【耐震・法的】
□ 新耐震基準(1981年6月以降)であることを確認した
□ 再建築可能な土地であることを確認した
□ 違法建築・容積率超過がないことを確認した
【出口】
□ 10年後に売却できる想定が立つか確認した
□ 土地値で売却した場合でも損失が許容範囲か確認した
まとめ
- 築古物件のリスクは主に4つ: 修繕費・融資・耐震・出口
- 築年数が進むほどリスクは増大するが、利回りも高くなる
- 「リスクが価格に見合っているか」が判断基準
- 修繕履歴・新耐震・融資可能・エリア需要の4点を確認する
- 修繕費を収支に織り込んだ上でDSCR ≥ 1.2を満たすかが最低条件
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