不動産投資の失敗の多くは「勘」や「営業トークへの信頼」で購入判断をすることで起きます。逆に言えば、数字を正確に確認すれば避けられる失敗は多い。この記事では「買ってはいけない物件」を数字で判定するための7つの特徴を解説します。
特徴1:FCRがローン金利以下
FCR(総収益率)がローン金利を下回っている場合、借入で購入すると借りれば借りるほど収益が悪化します。この状態をイールドギャップがマイナスと言います。
危険ライン:FCR ≤ ローン金利
目安:FCR > ローン金利 + 1〜2% が安全圏
例:
FCR: 4.5%
ローン金利: 3.5%
イールドギャップ: +1%(ギリギリ)
FCR: 3.0%
ローン金利: 3.5%
イールドギャップ: −0.5%(危険)→ 購入NG
⚠ 表面利回りとFCRは別物
広告に書かれている「表面利回り8%」はOPEx(運営費)を差し引いていない数字です。実際の費用を引いたFCRで判断することが必須です。
特徴2:DSCRが1.0未満
DSCR(返済余力)が1.0未満は、年間の元利返済額がNOIを超えている状態です。つまり「家賃収入だけではローン返済ができない」。
危険ライン:DSCR < 1.0
要注意ライン:1.0 ≤ DSCR < 1.2
安全ライン:DSCR ≥ 1.2
DSCRが1.0を切る物件は、現在の入居率が維持されてもキャッシュフローが赤字になります。
特徴3:賃料乖離率が+20%超
賃料乖離が大きい物件は、退去後に収支が急悪化します。現行賃料が市場相場より20%以上高い場合、相場賃料で収支を再計算すると赤字になることが多い。
確認方法:
市場相場賃料で FCR・DSCR を再計算する
→ 再計算後もFCR > ローン金利 + 1%を満たすか
特徴4:BERがエリア平均入居率を超えている
BER(損益分岐入居率)がエリアの実際の入居率より高い場合、現実の市場環境では「常に赤字」になります。
危険ライン:BER ≥ エリア平均入居率
安全ライン:BER < エリア平均入居率(余裕があること)
例:
BER: 88%
エリア平均入居率: 85%
→ BER > エリア入居率 → 常に赤字になる可能性
特徴5:自己資金比率が低すぎる(LTVが高すぎる)
LTV(融資比率)が高すぎると、空室や賃料下落が少し起きるだけで返済が苦しくなります。
危険ライン:LTV > 90%
要注意ライン:80% < LTV ≤ 90%
目安:LTV ≤ 80%
フルローン(LTV 100%)は毎月の返済が大きく、DSCRが低くなります。修繕費・空室期間の余裕資金も確保する必要があります。
⚠ フルローンで実質FCR割れは最も危険なパターン
物件価格の全額をローンで購入し、かつFCRがローン金利以下の物件は、ローンを増やすほど赤字が拡大します。初心者が陥りやすい「フルローン・低FCR」の組み合わせには特に注意が必要です。
特徴6:流動性がない(売れない)物件
売りにくい物件は、問題が起きたときに出口が作れません。
流動性が低い物件の特徴:
- 地方の過疎化エリア
- 狭小地・変形地・旗竿地
- 古すぎる物件(築40年超・旧耐震)
- 借地権物件
- 区分所有で管理組合が機能していない物件
これらは利回りが高く見えても、売れないリスクがあるため「出口なき高利回り」になりかねません。
特徴7:大規模修繕が近い・修繕履歴が不明
購入直後に大規模修繕が必要になると、想定外の出費で収支が崩壊します。
リスクが高いケース:
□ 築15〜20年超で大規模修繕履歴がない
□ 屋根・外壁・給排水管の状態が不明
□ マンションの修繕積立金が不足している
□ 管理組合の修繕計画が存在しない
ℹ 修繕費を収支計算に組み込む
購入時の収支計算には修繕費の積立を含めてください。一般的に年間賃料収入の5〜10%を修繕費・キャピタルエクスペンディチャーとして見込むことが多いですが、築年数・物件規模によって大きく異なります。
7つの特徴チェックリスト
購入前チェック(数字ベース):
□ FCR > ローン金利 + 1%(最低ライン)
□ DSCR ≥ 1.2
□ 賃料乖離率 < 10%(または相場賃料で再計算後もクリア)
□ BER < エリア平均入居率
□ LTV ≤ 80〜85%
□ 売却先の見当がある(流動性の確認)
□ 修繕履歴を確認済み・修繕費を収支に組込済み
1つでも✕があれば、購入価格交渉・見送り・追加調査を検討してください。
「利回り8%で高い!」
「満室だから安心」
「担当者を信頼した」
→ FCR・DSCR・賃料乖離を未確認
→ 退去後に収支崩壊
FCR: 7.2%(金利+2%)
DSCR: 1.35
賃料乖離: +5%(許容範囲)
BER: 72%(エリア平均下回る)
→ 数字で根拠を確認して購入
まとめ
| 特徴 | 危険ライン |
|---|---|
| FCR | ローン金利以下 |
| DSCR | 1.0未満(要注意1.2未満) |
| 賃料乖離 | +20%超(要注意+10%超) |
| BER | エリア平均入居率以上 |
| LTV | 90%超 |
| 流動性 | 売却先の見当なし |
| 修繕 | 履歴不明・積立不足 |
これらを一つずつ数字で確認することで、「感覚の失敗」を防げます。
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