FCR(実質利回り)は「今年のNOIが物件価格の何%か」を示す指標ですが、保有期間全体の収益(毎年のCF+売却益)を評価することはできません。IRRは「投資期間全体を通じて、年率何%のリターンが得られたか」を示す指標です。
IRRとは
IRR(Internal Rate of Return / 内部収益率)は、投資のキャッシュフロー全体をゼロにする割引率です。
簡単に言えば:
- 初期投資(自己資金)
- 毎年のキャッシュフロー(BTCF または ATCF)
- 売却時の手取り(売却CF)
これらを合計して「年率何%で運用したことになるか」を逆算した数字がIRRです。
IRR = NPV(正味現在価値)がゼロになる割引率
NPV = -自己資金 + CF1/(1+r)¹ + CF2/(1+r)² + ... + (CFn + 売却CF)/(1+r)ⁿ = 0
このrがIRR
IRRが高いとはどういう意味か
IRRが高いほど、投資としてのリターンが大きいことを意味します。
| IRR | 評価 |
|---|---|
| 10%以上 | 高い。リスクとのバランスを確認 |
| 5〜10% | 不動産投資として標準的 |
| 3〜5% | 低め。融資条件・出口戦略次第 |
| 0%未満 | 投資として損失 |
ℹ IRRは「期待収益率(割引率)」と比較する
IRRが期待収益率(割引率)を上回っていれば、その投資は期待以上のリターンを生んでいることを意味します。Propilarでは割引率を入力すると、IRRがそれを上回るかどうかを自動判定します。
FCRとIRRの違い
| 比較項目 | FCR(実質利回り) | IRR(内部収益率) |
|---|---|---|
| 期間 | 単年度 | 保有期間全体 |
| 売却益 | 含まない | 含む |
| 融資の影響 | 含まない | BTIRRは含まない、ATIRRは含む |
| 用途 | 物件の収益力評価 | 投資全体のリターン評価 |
FCR: 5.5%
→ 「まあまあの物件」と判断
→ 売却益を考慮していない
→ 実は10年後に大幅値上がりの立地
FCR: 5.5%(単年度の収益力)
IRR: 9.2%(売却益込みの全体リターン)
→ FCRは普通でも、出口まで含めると優良投資
→ 逆にFCR高くてもIRR低い場合は売却損の可能性
BTIRRとATIRR
Propilarでは2種類のIRRが計算されます。
| 指標 | 意味 | 使い分け |
|---|---|---|
| BTIRR(税引前IRR) | 税金を考慮しない場合のIRR | 物件間の比較に適している |
| ATIRR(税引後IRR) | 税金を考慮した最終的なIRR | 実際の手取りベースのリターン |
減価償却による節税効果がある場合、ATIRRがBTIRRより高くなることがあります。
IRRの注意点
注意1: 売却価格の想定に大きく依存する
IRRは売却時の手取り額で大きく変動します。売却想定価格が楽観的すぎると、IRRも過大に計算されます。
注意2: 保有期間が短いほどIRRは高く出やすい
短期間で売却益が出る場合、年率換算のIRRは高く出ます。ただし実際の利益額は小さいこともあるため、IRRの数字だけで判断しないことが重要です。
注意3: IRR単独では判断しない
IRRはあくまで「リターンの効率」を示す指標です。リスク(空室・金利上昇・賃料下落)は別途 感度分析 で確認する必要があります。
まとめ
- IRR = 投資期間全体のリターンを年率で示す指標
- 毎年のCF+売却益を含めた「総合リターン」を測る
- FCRは単年度、IRRは保有期間全体。両方を見ることが重要
- IRR > 期待収益率(割引率)なら投資価値がある
- 売却想定価格の影響が大きいため、保守的に見積もる
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